浮かぶキューブの中に・・・その5

 
  なんと、目の前のキューブの中のどんぐりから双葉が出ていたのだ!


  眠ったのは、ほんの30分ほどだろう・・・・

  その間に芽が出て成長したというのか・・・・?

  どうやらキューブの中では、時間の流れ方が違うらしい

  
  
  さらに成長を続けているようで、たちまちキューブの中いっぱいに葉が・・・

  このままではキューブから溢れてしまうのでは・・・・と思いきや

  成長しながら縮小していってるではないか!

  しかも、成長のスピードもどんどん加速しているようで、

  双葉から数十分でりっぱなクヌギの木になってしまった。


  といっても高さは、数センチなのだが・・・

  
  なんとも不思議な現象に彼は、呆然とした


  しかし、彼はそれを取り出すべきかどうか迷ってもいた

  キューブの中では、数センチでも外に出したら

  本来のサイズに戻ってしまうかも知れないからだ・・・

  
  その間も成長は続いていたが、やがてどんどん小さくなって肉眼では

  見えないくらいになり、取り出す事は諦めざるをえなかった。


   

  マジックでもっとも難しいのは時間をコントロールする事・・・・


  彼は、これをなんとかマジックに利用できないものかと考えた


  そこで思いついたのが花のマジックというわけだ

  

  蕾から開く程度なら、時間もさほどかからないだろうし

  花が咲いた時点で取り出せば、マジックと上手く組み合わせる事が

  可能だからだ・・・・


  


  さて、次は動物を使ったマジックだが、変化をしなければ意味がない

  ただし、水を入れられないから水棲生物は

  中で死んでしまうだろう・・・・


  かといって、マジックでは定番の鳩やウサギでは、

  サイズが小さくなっても、キューブに移動させて出すだけの

  当たり前のマジックにしかならない・・・・




  そこで思い出したのが、あのカナブンのような昆虫だ!



  蝶やカブトムシなら、幼虫からサナギへ・・・そして、成虫へ

  と劇的な変化を遂げるではないか


  

  ステージ上では、今、まさにそのマジックの終盤に差し掛かっていた


  キューブの中には、蝶とカブトムシの成虫がいた


イメージ 1



  そして、花の時と同じようにステッキでそれらを取り出すと

  それぞれが羽ばたき飛んでいったのだ


  
  再び大きな歓声と拍手が湧き上がった!!



  さて、いよいよ最後の瞬間移動のマジックが始まる・・・・・



                     ・・・・・・・・つづく