浮かぶキューブの中に・・・・最終回

ミステリアスなショートストーリーもいよいよ最終回です!

ちょっと、長めですが・・・・一気にいきますのでお楽しみください(*´ω`)ノ


    ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


 アシスタントが次にステッキを挿し込んだ時

 彼は、自分がそこに入った時とは逆に、ステッキをキューブの中に引き込もうとした

 見ていた観客もその不思議な現象に驚いただろう・・・


 なにしろキューブの中の彼にとっては、まるで丸太のようなステッキが

 中に入ると彼のサイズに合わせて、細く小さくなってしまったのだから・・・


 

 彼は、慌てた様子でそれを自分の体にあてたり、外へ向って振ったりを繰り返したが

 何の変化も起きない!


 


 いや・・・・変化は、起きていた。


  
 彼の髪や髭は真っ白になり、顔のシワも増えている・・・・

 彼は気が付かなかったが、アシスタントも観客もモニターではっきりと

 確認していた。



 「だめだっ!!・・・・・どうして・・・・・・何故・・・出れないっ!」

 落胆した声が会場に響き、そして、彼は力なくキューブの中で腰を下ろした。


 と、その時客席にいた彼の妻が、ステージに駆け上がると

 キューブに走りよりそれを両手で覆った。

 
 客席は、どよめいた。


 それは、彼女が涙を流しながら、キューブの中の老人に話しかけている事もあったが、


 彼女の手で覆い隠されキューブの中が見えなくなってしまったのだから・・・・


 

 キューブの中の老マジシャンを夫人だけが見つめていたが、

 すでに、彼の目に妻の姿は見えなくなっていた。

 

 彼の呟きが途切れ途切れ聞こえてきた


 

 「そうだった・・・・大きな物・・・・縮んだ分・・・時間の進む・・・・も加速する

  ・・・・ただ、あのどんぐりのよう・・・しないから・・・・大きさは

  そのまま・・・・・・・・しかし、何故・・・・・?」


  

  彼は、すでに百歳は悠に越えたであろう姿で横たわったまま

  震える手で、服の襟についたピンマイクを口に近づけると、

  消え入るような、しわがれた声で話した


  「この変身こそ、ワシの究極のマジックだ・・・・・

      ・・・・そして、これが・・・・・さいごの・・・マ・ジ・ッ・ク

              ・・・・・・ご・き・げ・ん・よ・う・・・・」


   

  彼は、ついに息絶えた・・・・・


  夫人は、キューブを抱きかかえ、泣き崩れた。

   
   
  場内は静寂に包まれていた・・・・


   
   


   ただ、キューブの中では、まだ変化が続いている・・・

   彼の体は、腐敗し骨になり、やがて粉の様な塊になると小さくなって消えた・・・。


   
   と、夫人が急に驚きの表情で顔をあげた


   手をゆっくり開くと、浮かんでいるキューブがどんどん小さくなっていく

   
   モニターに映ったその中に、すでに彼の姿はなかった

   
   そして、ついにそれは完全に消えてしまった!!


   
   その瞬間、観客は総立ちとなり

   場内は、割れんばかりの拍手と大歓声に包まれた・・・・


   
   夫人もアシスタントも唖然としていたが、係りの者が慌てて幕を閉めた


   しかし、歓声はいつまでも鳴り止まなかった。


   

   何故なら・・・・・

    その全てがマジックショーだと、観客達は思っていたのだから・・・

    
    


     それは、まさに・・・・・最後の消失マジックだった。




             ・・・・・・・・おしまい!


   ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー -


 

ということで、何とか無事にラストまできました・・・・(;´-ω-)ーзフゥー

     
憐れマジシャンは、念願通り?究極のマジシャンとして消えてしまいました・・・・

 
画像なくて・・・・・・ m( ̄ー ̄)m ゴメン



でもって・・・・・・さらに、エピローグにつづきます・・・・・(* ̄~ ̄)9