もちろんその様子は、ステージ上の大きなモニターにも
映し出されている・・・・
キューブの中に花が咲くと
観客席は、割れんばかりの拍手に包まれた
マジシャンは、いつも彼がしてきたようにその歓声に答え
両手をひろげ、満面の笑みを浮かべた・・・が、
すぐに持っているステッキを口に充て、客席に静まるよう合図を送った
観客は彼の意を察し、再び場内は緊張に包まれた・・・・
彼は、足元の蕾のなくなった鉢植えを取り上げると
横に置かれたテーブルの上の黒い箱の中に入れ
再びステッキでキューブを指し、少しずつ下へ動かしはじめた
すると・・・・宙に浮いたキューブがその動きにあわせるかのように
ゆっくりと下に降りて来て、
彼のステッキとは反対の手の上に浮いた状態で止まった
透明なキューブの中にその花も浮かんでいた・・・
もちろんキューブには、つなぎ目もフタのような物もない
それから彼は、ステッキをキューブの中に・・・・
花を吸い付けるかのようにして取り出したのだ・・・・
それはまるで透き通った壁を花が通りぬけたかのように見えた
空っぽになったキューブは、またゆっくり上に上っていく・・・
ステッキの先に花を付けたまま、鉢植えの入ったボックスの上にかざし
そこでまたカウントを・・・・・1・・・・・・2・・・・・・3
ステッキを素早く振ると、先に付いていた花は消え
と同時に、ボックスの4面がバラけて倒れ
そこには、花をつけた鉢植えが・・・・・
観客席から再び大歓声と拍手が沸き起こった!
しかし、これは今回のキューブ・マジックの
ほんの小手調べに過ぎないのだった
そして、このマジックショーは
彼にとって最初で最後のキューブ・マジックなのだから・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・つづく